2003年5月29日

肥後物産通信5月号 品質の良いものは「彼岸から彼岸まで」

【産地状況】
5月の眩い日射しを受け新芽がすくすくと成長しています。
農家では外仕事も一段落して、刈り取り前の最後の生産に入りました。
産地、消費地とも手持ち在庫は少なく、積極的な買いが一部では始まっているようです。
相場は消費地からの引き合いも増えてきており、本間・五八とも総体的に高くなっています。   
この先、生産(来月10日頃まで)は徐々に少なくなり、在庫の品薄状態も予想されます

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【畳表の品質の良いものは「彼岸から彼岸まで」】について
 
 主に気候とイ草の品質に関係していると思います。

1.(気候の面から)

まず、イ草刈りが終わり8月に生産される畳表は、草質は遅刈りの良い草なの
ですが、気候的に真夏の日射しが強い時期なので、温度・湿度とも高く色変わ
りが早く感じられます。

8月に入荷した新草は、外に放っておくと入荷後1~2週間で古草に近い色合いに
退色してしまいます。刈り取って間もない新草はまだ加工には適さないと思い
ます。そのため弊社では契約農家には8月いっぱいは極力古草を織ってもらうよ
うにお願いしています。

湿度が高い南風から朝のひんやりとした北風に変わる頃がちょうど9月半ば過ぎ
の彼岸頃になり、その頃から織った畳表は春先まで在庫していても黒っぽい退
色ではなく、艶のある退色で品位を保った製品が多いように思います。
また、湿度が高くなる6月頃から8月にかけては色がくすんだような畳表が出来
やすくなるようです。

熊本県イ業研究所に問い合わせたところ、主にイ草の色変わりする理由として
あげられるのは、光、湿度、温度の三つが関係しているとの事です。

2.(草質の面から)

4月以降に製織される畳表は、大半の生産農家は早刈りのイ草となりますので
この時期の品質はあまり良いとは思えません。

なぜ、4月頃のイ草の品質が良くないかというのは、農家の保管倉庫の都合で、
イ草を早く刈った順番に奥の方から早刈り、中間刈り、遅刈りの順で詰めてい
きます。
そのため、遅刈り、中間刈り、早刈りの順にイ草を織っていき、およそ年内で
半分を消化し、時期的に4月頃の畳表は早刈りの柔らかい草となってしまい品
質が落ちると思われます。

ただ倉庫が広ければ、遅刈り、中間刈り、早刈りに分けられたり、刈り取った
田んぼごとに分けられます。そのような管理をする農家はどの時期のイ草から
も織ることができ、4月以降も良い品が出ることがあります。
 
以上の要因で、良い畳表が出品されるのは、9月~3月(彼岸から彼岸)と思
います。

この件につきまして、ご意見・ご質問をお待ちしております。

投稿者松永:2003年5月29日 13:05

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