2004年2月28日

肥後物産通信2月号 生産農家との懇談会

【産地状況】
農協市場の出品枚数が一週間で約5万枚前後になり、畳表の生産が本格的に
始まりました。草質の良い品物につきましては、これから少なくなること
もあり、しっかりした値段で取り引きされております。2月の下旬より各
地区で春の展示会が予定されており、これから展示会に向けての買い付け
が始まるものと思われますので、期待したいところです。
熊本の作付面積は、前年対比約2%減の1,740ha(その内“ひのみどり”
の作付面積は前年対比10%増の550ha前後)になる見込みです。

 

【平成15年度畳表品評会】
2月の14、15日に、八代市ハーモニーホールで八代の特産品展示があ
り、その中で畳表の品評会がおこなわれました。
出展された畳表を見た感想は、去年の10月に行われた千丁地区の品評会
に出展された畳表と比べますと、良質の草が少なくなっているせいか、10
月に製織された畳表の方が良いように思いました。
品評会の様子は、以下のアドレスを御覧下さい。
 ▽品評会風景

【生産農家との懇談会】
1月6日より13日まで6日間を通し、JA担当者含め49名の生産農家と
新春懇談会を行いました。
懇談会の内容は、消費地の状況報告(販売現場の報告)と中国産地の状況
報告(ビデオ鑑賞)を行い、また生産者との情報交換の中で現在の問題点
を明らかにし、また問題解決の取り組みを一諸に考えようとの趣旨で行い
ました。

1、消費地状況報告
・要望として、表の生産者印・生産者パンフレット等、国産の証といえる
製品づくり。
・畳表需要期に供給できていない(供給責任問題)。
前回の肥後物産通信でも取り上げましたが(ひのみどり種の普及による製
織時間の延長・他農産物との同時栽培等により)9月~12月までの需要
期に安定した供給が出来ない現状があります。この事もあって中国表への
移行が心配されます。

Q:11月中に織れるだけ織り11月末や12月に植え付けを延ばす事は
  出来ませんか?

A1:い草の成長は施肥の調整だけでなく土壌や日照時間で大きく左右される。
  それぞれの農家がこれまでの経験から作付け時期を判断している為、揃って
  時期をづらす事は難しい。また、い草の株分け作業が一時期に集中すると、
  割手・植手の人出が確保できない。
A2:製織作業は止めずに、株分け・植え付け作業を全て人を雇って行った。
  その経費はこの間の表の収益で補う。経費はかさむが、その方が効率良く出来
  るし体にも負担が少ない。
A3:作付けを早くする理由に、苗の活着を早くして飛来するカモの被害を最
  小限に防ぎたい事もある。

などの返答を頂きました。
意見を聞いた印象としまして、出来るだけ需要期に製織したい気持ちはあるの
ですが、周りの農家が作付けを始めると、「そろそろうちも・・」となってし
まうように感じました。また、い草の作付けは現在でも8割ほど人の手による
作業です。株割け・作付けをお願いする人手も農家経験者の60代~70代の婦人
が中心です。人手の高齢化・減少もあって、この時期の段取りは年々早く動く
状況にあるようです。

2、中国産地状況報告
・中国四川表ビデオ鑑賞
このビデオを見て感じる中に、キズの検査方法や需要期の生産体制(2交替、
3交替で注文に対処する姿など)。国産が生き残りで考えなければならない
ことがあるような気がしました。

Q:そこでこのビデオを見ての感想は?

A1:初めて見たが、ショックだった。こんなに良い品物が中国で出来る事を
  知らなかった。
A2:人件費の安さがあるからできる。競争は無理なはなし。
A3:検品の細かさには驚かされた。身内の生産ではつい甘えがでてしまい、
  キズの部分をなかなか切り離せない。
  
などの返答を頂きました。
生産農家の皆さんが中国産畳表を見る機会はほどんどありません。実際見比べて
取り扱われる畳屋さんとの対話が必要と感じます。良い畳表とはどういう物なの
か?生産者の意識として単に国産表は中国産表より質が良いと思っている現状が
あるように感じます。

3、品質に対する信用の問題
最近では中国産畳表の品質向上に伴い、織りキズ・仕上げキズ・色違い等
のクレームが細かなところまで指摘されるようになってきました。
国産畳表の場合、消費地でキズ物と判断され返品される畳表はほとんど生
産者の手に帰る事ありません。
それは返品期限が設けてある事により、農協市場ですと入札日からある一
定期間(21日以内)を過ぎると返品を受け付けない仕組みがあるからで
す。これによって畳表を仕入れた産地問屋等が期間内にキズ物と判断しな
い限り生産者の手に渡る事がなく生産者によっては繰り返し、同じ様なキ
ズを出してしまう傾向があります。

キズ物の表に返品期限を設ける事は、農協経済連にとっては農家を守る事
を意味してのことかもしませんが、今後徹底した工場管理のもと製造され
る中国産畳表と比較されていけば、産地としての対応を疑われる事になり
かねないと感じます。

Q:返品期限の延長についてはどう思われますか?

A1:表の仕上げは個人差があるので、勉強しないといけないと思うが、
  どこまでがキズと判断されるかよくわからない。
A2:延長は構わないのではないか。返品された物を見れば勉強になる。
A3:地元の会合の場で取り上げてみたいと思います。

などの返答を頂きました。
品質管理は産地の命であり、生産者と消費者を結ぶ信頼の絆と考えます。
今後の大きな課題となるのではないでしょうか。

4、問題解決への取り組み

・消費者の事を考え、産地全体(生産者、産地問屋)が同じ方向を向く。
・キズ物は流通市場に出さない。
・産地内部の21日という(甲ヤケなど一部は除くが)返品期限の延長を検討する。
・コストは掛かるが土づくりに投資して良い草づくり
・生産者の顔が見えるような、パンフレット等と名前の印鑑を作って差別化を図る。


私達は皆様から支持される産地・商品づくりには、ユーザーの方々とそれを
作り出す生産者の対話が不可欠と考えます。
今回、取り上げた他にご質問や要望等、お気づきの点がありましたらお寄せ
下さい。今後の対話の題材として活用したいと思います。

投稿者松永:2004年2月28日 11:47

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2004年2月27日

平成15年度 熊本県い製品品評会

2月14日、2月15日の二日間に、八代ハーモニーホールで熊本県い製品品評会が
行われました。

【品評会風景】

huukei.jpg
maebasi.jpg
tanaka.jpg
hirose.jpg
ikita.jpg

投稿者higo:2004年2月27日 18:04

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