2004年3月30日

肥後物産通信3月号 本物を流通させるために

【産地状況】
・農協市の畳表出品枚数は、1日平均1万2千枚となっており、昨年の同じ時期
 と比べますと、約1割の減少となっています。
 今年はイ草が短かったせいか、 良品質の表が少ないようです。
 これから4月に入りますと、前年6月の台風の影響を受けた早刈り表の出回
 りが予想されますので、益々良品質の表は少な くなってくると思われます。


・今年のイ草の生育状況ですが、暖かくなるにつれイ草も青みを増してきました。
 まだ作柄について判断できる状況ではありませんが、おおむね良好のようです。
 先刈りが始まる4月下旬頃まで根を健全に育成し発芽を促す管理が必要です。
 穏やかな晴天に恵まれると良質な作柄が期待できます。 
 

【本物を流通させるために】
・サバイバル委員会で、熊本産畳表と他産地の畳表との差別化を図るためにも
 畳表に熊本産のシールを張り、それに生産者の割り印を押すという提言がなさ
 れ、現在、実行に移されているようです。これに沿って最近の畳表には
「シールと印鑑(割り印)」という畳表が増えてきました。
 生産者や市場関係者にもこれらの徹底 を呼びかけ、
 熊本産には「シールと印鑑(割り印)」の表示があるという体制にもっていき、
 本物が流通する仕組みができればと思います。
 『シールと印鑑(割り印)写真』

◎異業種から学ぶ  (~本物を流通~)
・3月13日(土)、新八代-鹿児島間の新幹線が開通しました。
 鹿児島特産の「かるかん饅頭」の工場を見学。
 「かるかん饅頭」は原料に山芋を使い、昔は一般の人は食べる事は少なく、
 殿様方の饅頭だったそうです。
 250年の歴史があるそうですが、電気製品などのように機能が大きく変わるよ
 うな新商品がどんどん出る業界ではなく、どちらかというと同じような大きさや
 形・味、という商品なので、一時期はコスト競争のために、見た目は変わりませ
 んが、品質を落として饅頭を作った時期が業界としてあったとのことです。
 ところがそのような事をしたら、消費者が敏感に品質が落ちたことを感じ取り、
 消費者の「かるかん離れ」が起き始めたそうです。
 そこで初心に戻り、材料には品質は高いものを使い、その事を説明して適正価格
 を維持することに努めはじめたそうです。
 説明やPRが流れを変えました。


 「そういう流れが変わったのはいつ頃からですか?」と質問すると、かるかんの
 工場長からは「バブルがはじけてからです。」との返答を頂きました。
 今では、消費者からの評価は高く、鹿児島特産の「焼酎」「さつまあげ」と並び、
 順調な売れ行きとの事でした。
 「畳表」も「かるかん」のように数百年と形や色など変わりませんが、産地内部
 では残念ながらまだまだ、悪いものを隠す、または熊本産でないものをそうであ
 るかのようにする風潮があります。
 本物を伝えていく姿勢は見習いたいものです。

投稿者松永:2004年3月30日 11:44

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