2011年9月 1日

肥後物産通信9月号「熊本産地状況報告」(秋季)

現在の熊本産地状況をお伝えします。

作付面積推移
まず熊本の作付面積は825.0ha(前年比96)、生産農家は633(前年比93%)です。
参考まで農家戸数は平成元年を100%とすると、平成23年度で11%となっています。

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品種別の作付面積は、ひのみどりが56.2%、夕凪16.4%、ひのはるか13.7%となり、ひのみどりは前年比10%減、ひのはるかは8%増でした。また今年7月より、農協市場の相対取引が出来なくなり、”ひのさくら”より上のクラス以外は全て入札で行う事となりました。

 

 

23年産い草収穫量について
今年度の収量は例年より1015%前後少ないという声が聞かれます。これは今年の春まで冷込みが厳しく、この頃より「量的に少なくなりそうだ。」という声が聞かれました。その後520日頃より雨が続き、草の伸びは回復しましたが、刈り取りが本格的に始まった628日頃まで梅雨末期のような大雨で、早刈りに実入りが少ない事と、7月初旬には梅雨が上がり、遅刈りの草の伸びが足りなかったことが起因しているようです。


製織状況について
また近年は8月末まで古草で製織する傾向で、昨年は9〜10月頃に新草に本格的に切り替わりましたが、昨年度が不作のため早めに古草を消化してしまい、今年は8月の時点で約4割が新草となっています。
 昨年より早めに新草の生産が始まり、作付面積と収量も少ないという状況で、来年は更に早めに草の消化が進む可能性もあります。相場は需要と供給のバランスで決まると思いますので、あとは需要が昨年と比べてどのようになるかがポイントと思います。

 

 

 

私たちの取り組み
供給面において把握しにくい点が、平成18〜22年までの全国い生産団体連合会と熊本県い業生産販売振興協会が調査をした報告書によると、熊本産畳表の流通量が実際の供給量より大きく上回っているという事です。(http://www.higobussan.co.jp/nouka/kensakusyusi.html
 報告書の事は、実際に各地の販売先でも耳にする事がありますが、この点が供給面として、また需給バランスのつかみにくい点です。この点への対策として、QRコードを織り込む事や、生産者名印鑑を徹底するようにしたり、また梱包に同封している生産者ラベルに原産地表示を盛り込んだり、また、お手元の生産者が生産中の農家であるか、熊本の生産者検索サービスを始めました。(http://www.higobussan.co.jp/nouka/)

生産者名や生産者番号をキーワードとして入力して頂ければ検索結果が見えます。これまでも78年前にい草生産をやめた生産者の名前が使われていた事があったりしていることへの対策です。生産者情報はまだ完全なものではありませんが、これらの対策は早めに行った方が良いとの判断でスタートしましたので、ご理解をお願いします。

 

 

 

品質の安定したお気に入りの生産者の商品を続けて仕入れたいという要望に少しでも役立つよう、2006年より始めましたネット発注システムは農家ごとの購入履歴やお気に入りの生産者を登録して頂くと、入荷通知としてメールでお知らせするなどの機能があります。お客様の仕入れに役立つツールとしてご活用して頂ければと思います。


 

その他の取り組みとして、熊本イ製品卸商業協同組合製作の見本帳に、”ひのさらさ”クラスを含めた8枚の畳表見本と品質の違いを説明するA3サイズのパンフレットを入れて1万円で販売しております。品質の違いが伝わらなければ価格の安いものが選ばれるかもしれませんが、この見本帳の一番の特徴は通常は在庫されない”ひのさらさ”クラスが入っていることです。品質の違いを説明するツールとしてご活用頂ければと思います。

 

 

昨年秋より「なぜ 需要は多くないのに相場は高くなる?」という声が多く聞かれました。市場平均単価は昨年11月から12月に70円上昇し、春も下がらず、過去にない相場展開となりました。「やがて安くなるだろう」という見方と、「しばらくは相場はしっかりしている」という見方に分かれましたが、後者の見方は少数でした。今年度の状況も見方が分かれるところかもしれませんが、現状をお伝えし、今後の仕入れに役立てて頂ければ幸いです。

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投稿者higo:2011年9月 1日 16:44