2011年11月17日

肥後物産通信11月号「今回の相場高騰について」

【今回の相場高騰について(流通在庫の視点より)】

 11月中旬となり、い草の植え付けがまもなく本格的に始まります。これから12月中旬までの1ヶ月間が出品が少ない状態が続くと思われます。産地問屋においては、お客様への供給を絶やさないようにと商品の確保に追われ、この事で相場は全般に強くなっています。

 新草から、もともとが高値でしたので、「これ以上高くなるのか?」というような声もありましたが、予想以上に高値となってしまいました。しかしこの相場は誰かが意図的にコントロール出来るものではなく、生産枚数の減少と流通在庫が少ない中、それぞれの産地問屋では「昨年並みの在庫を持ち販売したい」また、「問屋としてお客様への供給を絶やさないようにしたい」という思いが、相場を押し上げているのが実態だと思います。

 「なぜこんなに高くなったのか?」多くの声が寄せられました。9月通信の産地状況レポートでは、生産側の状況をまとめましたが、今回は流通在庫の状態について、昨年からの動きを振り返ってみたいと思います。

▽2010年6~9月
 異常気象で暑い日が続き、「暑すぎて仕事が出ていない」という声が多く聞かれました。
 そのため売れ行きは悪く、少ない在庫で間に合うため、産地、消費地とも、全般に在庫を少なくする傾向でした。
▽2010年11月~12月中旬
 涼しくなり、この時期に注文が例年以上に多くなりましたが、植付時期に入っていたため、供給が間に合わず、注文は頂いても発送が数週間出来ない状態となりました。わずかに市場に出まわっている品物が異常に高値となり、「年末や年明けに安くなるだろう」という見方が多く、高値の商品をギリギリまで仕入れない傾向がありました。この時点で流通在庫が少ない状況となりました。
▽2011年1~7月
 例年は春に下がる相場が、ほぼ年末の高値のまま推移。ただ下級品の生産が増えてきた分、統計上の平均単価は下がったようにみえました。相場は2~3月頃に下がるのではないかという憶測もあり、産地、消費地における在庫は少ないまま推移。
▽2011年8~10月
 8月より新草に切り替わり、在庫が少ない産地では高値となりました。
 全般に品質は満足されるものでなく、かつ高値という事で消費地では在庫の積み増しが進みませんでした。

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「畳替えの仕事は昨年より少ない」という声が多い一方で、
 1、需要以上に供給が少ない事
 2、産地、消費地ともに在庫が少なくなっており、ダム機能があまり働いていない事
これらの要因で、「あと1ヶ月生産が少ないために、少し在庫をしよう」という事で、多くの人がそのような動きを少しでもすると、急激に相場を押し上げてしまっているように思います。

今回の相場の高騰については、様々な見方があると思いますので、他の視点での見方がありましたら、私達も学びたいと思っていますので、コメント頂ければ幸いです。

投稿者松永:2011年11月17日 17:37

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