2004年1月23日

肥後物産通信1月号 2003年の熊本畳表を振り返って

【産地状況】
畳表の生産状況は、初入札から現在までの農協市場の出品枚数は、昨年と比較し
ますと約2割減となています。
また、原草の消化が、例年であれば年末までに約5割程消化しますが、今年はい
草が短かった影響もあり6割近くまで進んでいるようです。

今後、早刈草(在来種等)に移行してきますが、良質な草は少ない様で4月以降
は品質が落ちる事が予想されます。そのため春先には上物の表が少なくなるので
はないかと思われます。
今年の作付面積は竜中の初市に際に、経済連より前年対比2%程度の減少との話
があったそうですが、イ業振興課に聞いたところ、まだ正確な集計は出来ていな
いとのことで、2月号で正確な数字はお伝え出来るかと思います。

【昨年の熊本畳表を振り返って】
15年産の作柄を振り返ってみますと、6月に台風がくるなど天候不順のため、
収穫が1~3割減り、更にひのみどりの作付けも増えて、生産枚数が上がらなく
9月~12月までの需要期に、安定した供給が出来なくなり産地としては大変ご
迷惑をおかけした事を、まずお詫び申し上げます。

・主な原因としては
1、新品種ひのみどり特有の草の細さからくる1枚織り上がるのにかかる生産時
  間が伸びたこと。これらの結果、1日に15枚前後織れていたものが、10
  枚前後の生産性と3分の2程度に落ちた。
2、高品質を保つために草の選別段階を在来品種より倍近く細かくしたこと。
3、キズ対策のために仕上げの時間が増したこと。
4、ひのみどりの苗が暑さに弱いため、8月に苗を植える時期がお盆前だったの
  がお盆明けになり、産地全体の約1週間分の生産枚数がお盆明けの新草スタ
  ート時点で不足したこと。
5、秋口に行われる展示会、その他で、一部が見本販売が行われますが、仮に3
  分の1の見本が売れるとすると、実際に売れる3倍の在庫を持つ必要が産地
  全体で一時的に発生し、少ない生産量をますます供給不足とし、仮需が価格
  を押し上げる構造があった。

また供給面ではありませんが、昨年秋口の小さな特徴として、新草の「ひのさら
さ」など最高級品クラスに工業製品並の均一さを求められ、現物とのギャップに
少々戸惑いを与えてしまうことがありました。
例えば1枚の中で端と真ん中の微妙な色の違い等をキズとみられるなど、不安を
与える事がありました。1枚の中明らかに草が違うものが使われていれば、明ら
かにキズものとみますが、イグサの根と真ん中の色は違うため、真ん中と端の色
合いは微妙に違うとなど品質に関する情報発信を産地として更に行う必要性を感
じます。
できれば、高級品ほど新草早々のものを敷き込まれるより、年内は古草を使い、
新草は半年から1年寝かせたものを使用されることを希望する次第です。

以上、主な原因としてはこれらが考えられます。

これらに対する対策としては、生産性の高い新品種が開発中であり、本格的には
17年産より普及するのではないかと思われます。

【その他】
今後、熊本畳表が指示されるように、生産者のシールと名前の印鑑を付けるよう
な指導がサバイバル委員会から提言されると思われます。今後の取り組みと致し
ましては、生産者個々の畳表に対する生産履歴の問題が検討されており、さらな
る熊本畳表のPRになるのではないでしょうか。

【輸入表の種苗法検査体制について】
岡山、福岡では12月20日頃までは全量検査の為、混乱が生じていたのですが、
いまでは開け口だけの一部検査にかわってきており、最近は厳しい検査の山は越
しているようです。広島、熊本は庭先まで係官がきて検査があるようで他県ほど
の煩わしさはないようです。

【DNA鑑定について】
検査官に聞いても検査方法は教えてはもらえないようでが、噂では検査マニュアル
として、ひのみどりの特徴である草の細さという点から、10・幅の草の本 数に
よる確認で、一定本数を超えると、それによりDNA鑑定をしているのではという話
がありました。名古屋と福岡で1件ずつDNA鑑定にまわされ、茨城県筑波の農水省
の検査場で鑑定した結果、問題はなかったとの事でした。今現在、福岡の別の業者
がDNA鑑定を受けているそうです。(1月10日現在)

【種苗法検査料について】
JAS検査の感覚と違い検査料というものはないようです。ただ、全量検査の為の積み
降ろしの手間代、運賃、倉庫代を計算すると、20フィートのコンテナで7~8万円
程度はかかるようです。

【全い商連PR事業】
ボーダーフォンでオリジナル着メロプレゼントの企画。
1/12から1週間と、4月29日より1週間それぞれ抽選により3曲ずつプロの作
曲家によるオリジナル着メロをプレゼントをするそうです。
効果としては、若い世代への畳のアピールというよりは、畳業界でもモバイルを使っ
た広告に挑戦しているんだということでの、多方面へのパブリッシング効果を狙って
のものとのこと。

【JAS検査について】
JAS検査については、従来の拭き取り検査では着色か無着色を判別するのに曖昧な部
分があり、一部混乱も生じています。今現在、成分分析機の開発が進んでおり、将来
的には機械を導入して検査を行うとの話もあるようです。

【中国情勢について】
寧波の植え付けは前年比90%の16200ム(10700丁)程度。
無着色表に関しては1割はなく数%にすぎないようです。しかし、中国製品でも無着
色が指示されているのは事実であり、今後増える要素はあると思います。
中国産でも草質の良いものだけを無着色にしたとしてもボリュウムは大きいものがあ
ると思われます。

投稿者松永:2004年1月23日 11:50

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