2005年8月22日

肥後物産通信8月号 高品質な畳表

【産地状況】
お盆明けとなりましたが、産地では猛暑続きとなっております。
現在、生産農家では全般に8月苗の植え付けが行われており、本格的な畳表の
生産は今月末頃(25日)からと思われます。
お盆前の農協市場の出品枚数は1日平均1万枚弱、前年比約15%減となり、
刈取りが長引いたせいか、1口60枚程の出品が目立ちました。
すでに新草も半数程を占める割合のようです。
今年は全般に長いイ草が収穫され良質な畳表が期待されますが、現在の表は
まだ染土との馴染みが浅い感じがあり、若干根白の目立つ物も見受けられます。


【高品質な畳表】
熊本県で最高級品の畳表を生産される方に話を聞きました。
この生産農家の方は品質を重視した栽培方法をしており、イ草の作付面積が1.5ha
(ヘクタール)、10a(アール)当たり約400枚の生産枚数で、年間約6.000枚の畳表
の生産をされています。

Q:イ草栽培で重要な事は何ですか?
A:一番重要な事、そして一番難しい事は土作りだと思います。連作をせず一年間は
  田圃を休ませた状態です。その間はレンゲ草などの飼料作物を栽培して、田圃の
  肥やしとなる作業を行います。

Q:一年間休ませた田圃でイ草を栽培すると、どの様な効果が現れますか?
A:私の栽培方法は量はあまり採れませんが、品質の良いイ草を作る為に化学肥料
 (主にイ草の伸長を促す)を極力少なく使用します。
 その為には、土に栄養分がないといけませんし、地力が必要となります。
  そうした栽培方法で収穫したイ草は、量は採れませんが製品にした場合、艶や粘
 り(腰)のある畳表となります。

Q:収穫(刈取り)での特徴は何かありますか?
A:今年は梅雨待ちの状態で、7/8日から刈り取りを行いました。私は集中して短期
間で刈取りを終わらせる事にこだわっており、1日=約10a 分のイ草を収穫できる
システム設備を整えています。(一般的には1日=約8a)
また、乾燥時には熟成乾燥をしています。

Q:どうして高品質の畳表が生産出来るのですか?
A:特別変わった事はしていませんが、強いて挙げると私は向上心が強くあり、少し
  でも品質を上げる努力をします。そのためには細かな選別作業、高度な製織技術
 が必要とされ、手間と時間が掛かります。生産する畳表は少なくなりますが、
 品質を上げようとする努力は大切な事だと思います。
  しかし製織技術等にも限界があり、あともう一つ上のレベルを目指そうとするな
 ら、消費地の要望に耳を傾け畳表を生産する事ではないでしょうか。

Q:今年のイ草の品質はどうですか?
A:今年も例年並の品質、収量でした。草質は年々で、若干違いがありますが、
 製織では品質を落とさず、一定の畳表を生産するよう心がけています。

投稿者松永:2005年8月22日 09:58

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