2004年4月27日

肥後物産通信4月号 マダラ変色

【産地状況】
4月となり上物が動くシーズンを迎えましたが、昨年にも
増して厳しい消費状況のようです。農繁期に入り、市場の
出品は全般に少なくなりましたが、その中でもすでに早刈
りの表が目立ち、やはり4月が早刈り草に切り替わる時期
のようです。品質の高いものは、ごく一部となりましたが、
これらが市場に出ることは少ないようです。

早刈り、遅刈りの畳表写真

早刈りの草は表皮が柔く、へり際が白っぽくなっているの
が特徴です。しかし産地における加工によってはこれらの
草の欠点を水性ペンキとボンドによって、表皮はボンドに
よって堅くなり、へり際もすっきりした緑色に仕上げる事
が出来ます。
しかし植物をこのように熱加工したものは敷き込んでから
皮剥けなどの問題が発生しやすいのではないかと疑問です。
畳表のこのような特性をふまえた上で、これから先の仕入
に生かされてはと思います。

また農家次第では、すでに長い草を織り終えたところも出
始め、下級品の草は残っているようです。今後、草質の良
い上級品は非常に少なくなるものと思われます。
また、生産農家では生育中のい草の先刈作業が始まり、引
き続き、杭打ち・網掛け等がこれから続きますので、今後
生産は徐々に減退傾向になります。
い草の生育は全般に順調のようです。昨年6月の台風の影
響などで特に早刈りは良くなかった為、「今年は!」とい
う思いの農家は多いはずです。

【マダラ変色】
毎年のことですが、今年の冬も畳表の「マダラ変退色」が
あるところで発生しました。
冬場に発生しやすい原因は、暖房が原因していることも考
えられます。
昼間、部屋の暖房により20°位まで上がり、夜間から朝
にかけては部屋次第で0°まで下がり、温度差は20°以
上になることがあります。このような気温差がある部屋で
夜間、畳表に水などをこぼした場合、温度が低く水分の蒸
散が遅れてイ草の中まで水分が浸透し、昼間、気温が上昇
してきて、イ草の葉緑素破壊が活発になり、畳表のマダラ
変退色が発生しやすくなるようです。

◎イ草などの葉緑素を残した乾燥植物の特性として、気温
が高いことと、紫外線など光が当たることで葉緑素が破壊
されます。これに水分が加わることで、より破壊が進み変
退色が発生しやすくなります。
・水をこぼし、すぐに拭き取らずに長時間放置しておけば、
どんな畳表でもマダラ変退色が発生することがあります。
・イ草は泥染めされることで、急速に乾燥し葉緑素を残し
たままの状態です。この泥はイ草の水分吸収・放出を助け
るもので、他の物質で表面を覆うとかろうじて吸収された
水分は放出されず中に閉じこめられ、葉緑素の分解が促進
され変退色の原因となります。
・畳の種類では着色した表ほど色合いが良く、変退色が目
立ちます。また、収穫直後の新草で加工された表も同様な
変退色が発生しやすくなりますので、畳表は加工されて色
合いが落ち着いてから使用することが大切です。

これらの対策として考えられるのは、
・畳表を敷き込む時に「水などをこぼしたらすみやかに拭
き取って頂くこと」を説明してから納めることではないか
と思います。
・また出来るだけ無着色の表で、出来れば半年から1年寝
かした畳表を使用する。これは例えると生木を切ってすぐ
に家を建てない事と同じ原理と思います。
・生木の特性をよく理解している大工さんやハウスメーカ
ーは、山から切ってきたばかりの木を色がいいと言って、
その木ですぐ家を建てたりしないものだと思います。
・もし生木ですぐに家を建てると柱が反るなどいろいろな
問題が発生すると思います。その原理と同じ事が、冬場の
マダラ変退色に近いと思われます。
・草や木は建材として使用するに同じ特性をもっているの
ではないでしょうか。

木の特性を大工さんやハウスメーカーが知っている事と同
様、私たちも畳表に関してはプロとしてよくその特性を知
り、消費者に説明して未然にこのような問題は防ぎたいも
のです。

投稿者松永:2004年4月27日 11:42

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2004年4月26日

イ草の早刈り、遅刈り畳表写真(2004/4/26)

 

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投稿者higo:2004年4月26日 17:54

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