2004年6月19日

肥後物産通信6月号 有機栽培について

【産地状況】
い草の刈り取りが間近となりました。昨年はこの時期の台風によって、
枯れの落ちやヤケ(テレ)の発生等、草質に大きな影響がでました。
今年は4月中旬の低温・日照不足から花の付きが多く見られており、
早刈りの草はまずまずの伸長、作柄ながら畳表加工時の着花が気にな
ります。中間刈り以降は、これからの天候如何によるところが大きい
のですが若干、成長に遅れが見えます。やはり先月の気象が影響して
分けつ・発芽の遅れがあるようです。
今のところ、ムシムシする例年の梅雨を期待して、新芽の伸びを待っ
ている状態です。全般に刈り取りが始まるのは25日前後と思われます。

畳表の出展も少なく、一日平均1万枚前後となっています。
例年より長い草の消化が早い事もあり、中間から下物の出品が多く、
梅雨時期の生産は湿気の影響で畳表の色合いが非常に揃いにくい為
最近では上物の生産は控える傾向があります。
例年、新草刈り取り後しばらくは古物の出品がありますが、去年は
不作の為から原草の消化が早く、今年の古物は少ない事が予想され
ます。

【頂きました質問から】
5月号に引き続き、配信させて頂いてる方から頂きました質問より、
「有機肥料栽培」について取り上げたいと思います。

1.Q:有機肥料栽培は、どういう基準で有機肥料栽培というのか?
   (過去何年間か、化学肥料をいっさい使わない畑で育てたもの?)

    野菜、米などの有機農産物及び特別栽培農産物と表示される
    農産物の栽培基準は、「有機農産物とは、生産過程において、
    原則として化学合成農薬、化学肥料及び化学合成土壌改良資材
    を使用しないで、3年以上経過し、堆肥等による土づくりを行
    ったほ場において収穫された農産物を言われるようです。

    イ草の有機肥料栽培については下記の内容を参考にして頂けれ
    ばと思います。
    (広島県い製品商業共同組合ホームページより抜粋)
    
2.Q:有機肥料栽培の表示は、誰が保障するのか?
   (第三者の公的機関? 農家の方の自己申告?)
  A:減農薬と同じく、現在のところ、栽培当事者の自己申告が多い
    ようですが、第三者機関のオーガニック協会が認定する「特別
    栽培農産物」というのもあります。
       
3.Q:有機肥料栽培することで、「いぐさ」「畳表」のどんなところ
    に効果が現れてくるのか?     
  A:有機肥料を主体にした栽培が実を結ぶと畳表に現れるの特徴と
    して、以下の様な特徴があると思います。
    ・草に粘りが出てくる。
  ・粘りがあるため縦糸に従順になり、畳の目がまっすぐになる。
 ・表皮細胞が厚い。
・草内部の繊維構造が密である。
・表皮のしわが多くなり、表面積は多くなる。
・摩擦に強い。耐久性に優れる。
・葉緑素が多い。(大学での研究レポートより)
・明るい色になる。(生命力が強いと思われる)
・二酸化窒素等の浄化作用が強い。
・基本的に新芽の発育を促し、敷き込んでからの黒筋の発生が
     少ない。
・有機栽培により、草の根から先まで均一に充実し、品質が均
     一化する。

4.Q:有機肥料栽培の商品か、見分けるポイントはありますか?
   (証紙にたよるだけ?)
  A:有機肥料を主体にした栽培かどうか見分けるのは非常に難しい
    事ですが、Q.1の広島県い製品商業共同組合ホームページにあ
    るように光沢に富み・弾力性が有り・粘りに富んで・手でつか
    んだときに柔らかく押し返してくる藺草を使っている畳表を選
    ぶ事ではないでしょうか。

投稿者松永:2004年6月19日 11:36

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2004年6月18日

有機栽培とは

有機栽培について以下の「有機農産物及び特別栽培農産物に係わる表示ガイドライン」の基準に当てはめると”い草”の有機栽培は熊本においては昨年(1999)まで1件の農家が存在しましたが、やめましたので現在おりません。

化学肥料を使わない農家が2件ほどありますが、農薬は使いますので以下の条件には当てはまりません。最近「有機」と多く言われますが、畳表の基準は 特に無いようですので、基準がないまま、思い思いに「有機」と言われているようです。広島県い製品商業共同組合ホームページにありますように、私たちは有 機については以下のように考えています。


98/6/10


有機農産物及び特別栽培農産物に係わる表示ガイドライン
~消費者にもわかりやすい統一した表示のために~


 農林水産省では、有機農産物等についての明確な定義がなく、表示も統一ざれていなかったことから「有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」を制定しています。
 対象は、従来の生鮮の野菜、果樹、豆類、茶等に加えて、平成10年産から米及び麦がガイドラインの適用を受けることとなりました。

有機農産物とは

生産過程において、原則として化学合成農薬、化学肥料及び化学合成土壌改良資材を使用しないで、3年以上経過し、堆肥等による土づくりを行ったほ場において収穫された農産物をいいます。

 

無農薬栽培(無化学肥料栽培)農産物とは

農薬または化学肥料を使用しない栽培方法により生産ざれた農産物をいいます。ただし、有機農産物と異なり、前作までの農薬等の使用状況は問いません。

 

減農薬栽培(減化学肥料栽培)農産物とは

化学合成農薬または化学肥料の使用を、同じ地域の同じ時期に慣行的に使用される回数又は量の5割以下に減らして生産ざれた農産物をいいます。

 

以上 月刊「農業くまもと-AGRI」
熊本県農業改良普及事業協議会 第11巻 6月号より抜粋


(以下、広島県い製品商業共同組合ホームページより抜粋)

Q:有機栽培畳表と表示されている畳表がありますが、畳表において有機栽培の意味はどの様なことなのですか。

A:言葉どうりに解釈すれば、有機肥料で栽培された藺草を使用して織られた畳表を有機栽培畳表というのですが、現在まだ、藺草の有機 栽培について明確な規準となる物がありません。なかには、他産地においては売らんが為に有機栽培と称しているとしか思えない品質の畳表まで見受けられるよ うです。

 確かに、有機質をふんだんに吸収し育った藺草は、茎も細く丸みをおび、弾力性に富み、粘りがあり、耐久性があり、優れた光沢をみせ艶があります。
ここで大事なのは、有機肥料は作物が吸収するのに大変難しい肥料であるので、ただ単に有機肥料を水田に投与すればそのまま藺草が吸収してくれる物でないということです。
有機質を藺草に吸収しやすい形に分解してくれる土壌のなかの微生物やその微生物が分泌する酵素の働きを借りなければなりません。

土壌微生物と有機肥料そして健康な藺草に育てる栽培技術が伴って有機栽培の価値が出てきます。
藺草にとって一番大事なことは、成長段階に応じて必要な養分を有機質を中心にして補給してやることですが、有機肥料に頼りすぎると片寄ってしまいがちになる栄養分をバランス良く化学肥料で補うことは、決して悪いことではありません。
ただ単に、言葉の上で有機栽培と言うことを弄ぶのではなく、良質な藺草をどの様に栽培して、高品位の畳表を消費者に届けるかが要求されているはずです。

したがって、有機栽培と称する限りは、有機栽培と名乗るだけの品質を保持し、有機質肥料の養分を十分に享受した藺草を使った畳表について相応 の価値を評価する事を惜しむものではありませんが、単に有機肥料を水田に投与したことをもって、有機栽培を名乗るだけの品質をもたない藺草で製織された畳 表では、消費者の期待を欺くことになるでしょう。
(参考文献農文協刊 土壌微生物の基礎知識 西尾道徳著など)

 畳表について、なかなか正しい知識を手に入れることの難しい消費者にとって、有機栽培と表示している畳表を見て、表示されているだけの品質を見極めるのはなかなか難しいことですが、光沢に富み・弾力性が有り・粘りに富んで・手でつかんだときに柔らかく押し返してくる藺草を使っている畳表を選んで、畳に使用してください。

投稿者higo:2004年6月18日 17:59

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