2006年2月17日
肥後物産通信2月号 畳のトレーサビリティー構築
【産地状況】
農協市場の出品枚数が一週間で約5万枚前後になり、昨年とほ
ぼ変わりませんが、糸引きの出品は少ない状況です。
千丁町では例年2月に品評会が開催されていましたが、今回は
経済連のJA移管に伴い、開催は見送る事となりました。
JA八代管内の18年度作付面積・生産戸数が発表されました。
(球磨・宇城地区を除く)
・作付面積1264ha・生産戸数925戸
・ひのみどりの割合477ha、実質約45%
・前年比 297ha作付減(80.9%)・127戸減となるようです。
今後の畳表の品質について
・早刈り(主に在来種)のイ草は、例年より堅い草が収穫され、
実入りの良い畳表が製織されるのではないかと予想されます。
・在来種の古芽には大きめの花が付いているようです。
花が大きい分、選別のときに取れるかもしれませんが、
下物の畳表には花付が気になるところです。
【畳のトレーサビリティー構築】
昨年、某大学の女子学生が弊社を訪れました。
卒業論文のテーマに「畳」を取り上げられたのです。
「住まい」の一部であり、日本古来からの文化である畳の現状
を理解し今後、生産者・供給者・消費者のより良いつながり、
すなわち「畳のトレーサビリティーの構築」を提案したいと考えら
れました。よって産地を訪れ、生産者・産地問屋・材料商・畳店を
巡り、それぞれの立場から話しを伺い、現状を把握されたようです。
■卒業研究概要より
◎研究の背景
・私たちが製品を選び購入する際、指標とするものは製品の表示である。
・BSE騒動・雪印事件等により、生産から流通に至るところの情報管理
の不備、利益追求のために危険性を隠蔽する企業体質が露呈している。
・現在、生産者から消費者の手元に届くまでの情報を把握できる「トレ
ーサビリティー」の仕組みが注目されている。
◎畳を取り上げた目的
・「食」の分野ではトレーサビリティーの仕組みは注目されているが、
「住」の分野ではまだまだ認識されていない。
・建材についてもシックハウス問題のように、安全性を保証する為の
法律やガイドラインがなく、企業が事実を隠蔽し、消費者を騙すよ
うな事が起こるかもしれない。
・建築資材の一つである「畳」を取り上げ、その各流通段階に携わる
者の製品表示への取り組みや意識を把握する。
◎調査結果より
・大量生産品や中国産輸入製品は、製品表示などの情報管理がなされて
いないが価格競争の結果、市場を席捲している。
・国内産の一部では製品表示、情報管理を行っているが、消費者側から
の要求より、消費者への安全性を巡る関心を高め、本当の畳の良さを
伝えようとするものである。
・現状では流通過程の各段階で携わる業者に、その取り組み(本当の畳
の良さを伝える)の理解がなければ、その情報が伝わらない。
・畳の流通体系は非常に複雑で、国産の良さを伝えたいと思う気持ちは
同じでも、それぞれ立場での考えや取り組み方に違いがある。
・消費者に正しい情報を伝え、畳の良さを知ってもらう事で、畳の伝統
を守る活動をされている畳店の会があり、小さいながらも川上と川下
を繋げる動きが出始めている。
◎展望より
・まず立場の違う者同士が集まり、話し合い、互いを知る事が重要ではな
いだろうか。
・情報について、最も重要な事を「いかに相手に信頼されるか」と考えれ
ば、相互の取引者が情報の受け渡しを確実に行うことではないだろうか。
・生産者は栽培日誌を付ける。流通業者は製品が混在しないよう管理の徹
底をする。畳店は消費者に対して確かな知識で、親切な対応・製品の提
案をするなど、製品表示の統一化に向けて、自分のできるところから取
り組むべきではないだろうか。
◎結論より
・消費者が安全・健康志向に関心を寄せ、関連する情報を求めた時に支持
されるのは、製品に想いやりやこだわりを持って地道に情報管理・提供
に取り組んできた生産・流通・販売者であると考える。
・現時点では製品表示の情報など、消費者に確実に辿り付く体制・仕組み
づくりが必要である。
「2005年度卒業研究概要」
建築資材トレーサビリティ ー畳を例にー
■まとめ
以上のような、すばらしい卒業論文を拝見させて頂きました。
畳に携わるものとして、今後、私達のあるべき姿を考えさせられます。
消費者・購入する立場で考えた時、また「消費者に信頼される為に、私
達は何をすべきか?」と考えた時、出来るだけ供給者に近い情報を提供し
て、供給者に近い情報で選択出来る仕組みが提案されれば理想ではないか
と思います。言葉を変えると、生産者並の畳表の知識を提供し、価格の違
いがわかる仕組みをつくっていくことではないかと考えます。
皆様のご意見もお聞かせください。
投稿者松永:2006年2月17日 09:35
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2006年2月16日
生育状況2006年2月16日
生育状況(手植え)2月16日撮影
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生育状況(機械植え)
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肥料散布 2月13日撮影
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投稿者higo:2006年2月16日 18:07
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