2005年10月25日

肥後物産通信10月号 品質の見分け方(新芽と古芽)

【産地状況】
秋風が涼しさを感じる季節となりました。
今年は台風の影響も大した事はなく、産地では畳表生産には最もよい時期を迎えております。
◎市場動向
 ・織りと仕上げの良い農家の製品は高値で取引されています。
 ・五八糸が少なく、市場に出る前に取引がなされています。
 ・農協市場の出品枚数は一日平均9,000枚となっており、昨年と変わらない出品
  となっています。
◎い草の製織状況
 ・一部で稲刈りが始まり、生産量は少し減退傾向です。11月中旬にはイ草の作付けが始まり、 畳表の出品が少なくなる事が予想されます。
 ・ポット栽培の作業が終わり、これらの生産者の製品がまた出回り始めました。
 ・本間類が安かった事もあり、五八に切り替える農家が見られます。
◎売れ行き
 ・展示会需要と実需で本格的に動いています。
 ・五八糸の喜から桜クラスが少なく、注文に対して多少遅れ気味です。

【品質についての見方(その1)】
新草の品質について、展示会などで色々と質問を受けました。
その中で、織りの良さや敷き込み後の品質に関係する古芽と新芽について私たち
の見方を述べさせて頂きます。

◎織り
織りの良さにつながるのは、一つは草の粒揃いだと思います。
畳表の突き出し(髭)の根を見ればわかると思いますが、
(根の写真)
細い草や、太い草が入り交じっていると、自然と織りもデコボコ感があってよく
ありません。
一方、草の粒が同じような太さの草であれば、自然と畳表の目がまっすぐ通り、
品行がよくなります。

◎太い草と細い草
同じ根の中にもし太い草と細い草が混じっていれば、太い草は「古芽」であり一般に茶色や黒っぽい色です。
細い草は「新芽」であり、一般に白色をしています。
良い製品は新芽だけで織られており、草の太さが揃っていることで、自然と織りも良くなります。
また新芽は数年経っても黒筋は入らず、古芽は黒筋へと変化すると聞いておりますが、長い草(新芽)で織る本間類の中にも黒筋が入る場合があります。
理由として考えられるのは、
1.環境の変化によるストレスから根の生育障害をおこし、茶根や部分的な変色(ヤケ・テレ)が起こった
2.地力が衰えイ草に力がない
3.急激にイ草が伸び、イ草内部繊維が充実しきれなかった

◎加工で化ける
根は一色が価値があるとみていますが、硫黄燻蒸によって、5色ぐらいに分かれた根の色も白一色に化けると言われています。
本当に良い製品かは、無加工のものでないと見分けは難しく思います。

◎本物をお勧めしたい
平成4年に熊本畳表銘柄確立研究会が発足し、弊社はこの方々との交流が始まりましたが、このような新芽だけで織りの良い製品を作れる(畳表の目がまっすぐ通る)農家は、普通の織機で実現出来ますが、それはほんの一握りでした。
織りの良さが高値を実現し、多くの農家の方々にこのような織りを求めましたが、数年経ってもなかなか実現出来ませんでした。
そこで出来ないところは、強制的に畳表の目をまっすぐ出来るように織機を改造しました。
この改造織機で織られた畳表は、一般に「絞り目」と言われます。
少し厳しい言い方をすれば「絞り目」は、草そのものの力では良い織りが実現出来ないため、行っているという見方もできるのではないでしょうか。
そしてこの方法では、目はまっすぐになっても、古芽と新芽が混じっていることには変わりはなく、古芽はいずれ黒筋へと変わると思います。
「本当に良い草を取れるところを称えたい」またこのような草を作れる人たちの製品に価値をおけば、良い草を作ろうという農家が増えてくる仕組みにつながります。
このようなことから弊社では「絞り目」を特に価値あるものとは位置づけてはいません。
試しに購入された製品の根のところを見て頂ければと思います。
品質についてこのように認識しておりますが、違った見方やご意見、ご質問がございましたら、私どもの出来る範囲でお調べしたいと思いますのでメールをお送り下さい。

投稿者松永:2005年10月25日 09:52

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2005年10月24日

根の写真

白根
茶根
sirone1.jpg tyane1.jpg

投稿者higo:2005年10月24日 17:56

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