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2005年6月24日
肥後物産通信6月号 い草の品質の違い
【産地状況】
早いところではイ草の刈取り作業が始まりました。イ草の生育は春先からの遅れが
影響しており、昨年に比べ短い印象があります。5月中旬からの晴天続きで、新芽の
発芽は多いようですが、降雨による伸長に恵まれず、梅雨による雨を期待して刈取り
を遅らせる農家も多い状況です。実際、ひと雨降る毎に新芽が伸び上がっており、
今後の天候によっては良質なイ草が収穫できるのではとの見方もあります。
農協市場の出品は少なく、一週間で3万枚くらいの生産となっています。
すでに生産農家の多くは刈取り準備に入り、織機を止めた状態です。今後、全般に
製織が再開されるお盆前までは、休市が多くなります。
------風景写真(撮影)------
(全般に刈り取りが始まるのは25日前後と思われます)
【イ草の品質の違い】
◎大きな違い
今年もイ草刈りの時期となりました。生育の過程を振り返ると同じイ草でも田んぼに
よって大きな違いを目にしました。
ーイ草生育の違いー
▽5月写真(道を挟んで全く違うイ草が育っています)
▽6月写真
品種によっても大きな違いがありますが、物づくりに対する考え方・品質に対する
生産農家のこだわりが、畳表になった時もっと大きな違いになると思います。
◎大きく分けられる2つのタイプ
A:『品質にこだわる生産農家の特徴』=(相対取引になる傾向)
・ユーザーの要求に対応しようとイ草栽培に対する意識の高い生産農家が、
収量より品質にこだわったイ草栽培をされています。
・イ草の特徴は、イ草内部の繊維が非常に密でイ草に粘りがあり弾力性
耐久性に優れています。無着色の場合、特に草質が良く分かると思います。
・畳表の製造過程でもキズを出さない意識が高く、特に仕上げ作業は気を使われ
ます。
・相対取引では生産農家と直接対話できる事で消費市場に向いた製品づくり、
クレームなどに対応しやすい関係ができます。
・安定した品質・生産者情報をもとに、ユーザーへの提案が考えられます。
・一方、産地業者によってはユーザーの要求に応じて、着色が求められる事
もある為、相対取引品の全てが上記を満たすとは限りません。
B:『品質のまばらな生産農家の特徴』=(入札品に多い傾向)
・過去の全盛時代の感覚で、現在でも質より量を重視した生産があります。
・イ草の特徴は、イ草内部の繊維が疎らで空間があり、表皮が剥けやすい物も
見受けられます。
・畳表の製織・仕上げ作業では、1枚でも早くといった感覚があり、キズに対する
認識に大きな差を感じます。
・市場入札品は現在でも、生産者に消費地の要望・キズ等のクレームが伝わり
にくい体質があります。その為、気付かないままの生産が繰り返されます。
・入札品でも、相対取引にひけをとらない製品も市場に出品されていますが、
入札にこだわる生産者でないと市場に出てこなくなる傾向です。
◎タイプが分かれる主な理由は下記が考えられます。
A:消費地からの要望を生産者へ伝えられる
B:消費地からの要望が入札の仕組みによって伝えられない
また返品期限が21日で受け付けられない
◎まとめ
・このような訳で上記の写真にあるように、道を挟んで同じような長さの草で
も品質が大きく異なる現象が見られます。
・品質に対する要求が高まるほど、産地問屋と優良農家との相対取引が進んで
いるようです。
・ここへきて同じ熊本産といっても、品質上大きな差が出ているように思います。
皆様はどのようにみられているでしょうか?ご意見をお待ちしています。
投稿者松永:2005年6月24日 10:23
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