2005年12月16日

肥後物産通信12月号 退色についての質問回答

【産地状況】
い草の作付けを終えた生産農家では、畳表の製織が始まりました。
現在1631haの作付面積は今年度は熊本県全体で約2割程減少すると予想されます
(各地区ごとの作付面積・農家戸数は、1月に発表になります)
生育写真

◎作付面積減少の原因として
・原草の消化が進まず、来年に持ち越す事(昨年より2割程増収の為)
・苗の生育不良(特にひのみどり品種)により、やむなく減反した
・生産農家の減少(今年のみ作付けされない農家もあるようです)

◎市場動向
・先週の農協市場出品枚数は一日平均3200枚、ほぼ前年並みとなっています。
・織りと仕上げの良い農家の製品は入札前に高値で取引されています。

◎畳表の製織状況
・全体の4割程製織が再開されているようで、19日の週から本稼働される所
 が多いと思われます。また市場出品のピークは27・28日となるようです。

【質問】
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 畳は、どうして縁から退色するのか?
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上記ご質問の件について、熊本県い業研究所に問い合わせてみました。
ご質問内容に対する適切な資料等はないとの事でしたが、質問に対する
アドバイスを頂きましたので、私達の考えを含めまして報告させて頂きます。

◎縁から退色する原因として考えられる事
・イ草の葉緑素が関係していると考えられます。
・イ草の葉緑素は、根元の部分になるほど薄くなります。
 「イ草は、茎が葉に変わって光合成を行いますが、根元は葉鞘(俗にハカ
 マ)に包まれ保護されており、太陽光から遮断された状態で生育します」
・畳表で言いますと、真ん中が葉緑素が濃く、縁の部分は薄くなります。

◎縁からの退色が目立つ畳表
・元白(根白)が多いイ草で製織した畳表は、縁からの退色が目立ちます。
・元白が多い畳表は、短いイ草で製織した下級品に多く見られます。
・年々の天候でイ草の出来具合は違いますが、イ草の長さ・収量を求めた
 栽培をすると、元白の目立つイ草になりやすいようです。
 (またそういった草は、灯芯の充実が乏しく柔らかい草質となります) 

◎均等に退色する畳表
・一般に長いイ草を使用し、元白が少なく、真ん中と縁の差がない畳表
・イ草に丸みがあり、粒揃いが良く、光沢のある畳表
・製織技術の高い生産農家の畳表
(手間を掛けた選別や製織技術によって、元白を入れない畳表が生産できる)

【一年を振り返って】
今年は「食の安全」「農産物のトレサビリテイー」など、一般消費者の
「安心・安全・健康」への一層の関心が伺えた一年のように思います。
本物の良さを伝える事を目的として、肥後物産通信を発信してきましたが
発信当初に比べ、消費地からの無着色表の支持を感じます。
着色しない事により、イ草そのものの品質が見直されるようになりました。
産地では作付面積・農家戸数の減少から、今後を危惧される声も聞かれ
ますが、その一方で、ユーザーに選ばれる物づくりをしようと、一生懸命
取り組まれている若手後継者も育っています。
ひと昔前の、生産すれば売れる。見た目さえ良ければいい。という考えで
は通用しない事を考えると、産地としてプラスの面も伺えるのではないで
しょうか。
私達はそういった生産農家と共に、畳表の本物の良さを伝え、皆様に支持
される産地へと努力していきたいと思います。

良い年をお迎えください。

投稿者松永:2005年12月16日 09:47

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