2006年10月26日

肥後物産通信10月号 九州農工商連携研修報告

【産地状況】
彼岸を迎え畳表の生産には最も適した時期となりました。好天にも
恵まれ市場では大変良質な製品が出回り、最上級品から下級品まで
品揃えができる様になりました。
農協市場の出品枚数は一日約1万枚前後となっており、昨年とほぼ
変わらない出品となっています。

現在、一部で稲刈りが始まり生産量は少し減退傾向です。11月中旬
にはイ草の作付けが始まることから、生産は徐々に減退する事が予
想されます。
また産地における在庫は、Web在庫でご覧の通りまだ全般に不足し
ていますので、例年通りの売れ行きであれば11月末まで強気で行く
事が予想されます。

◎お知らせ
本間糸と五八綿々を生産する東瀬氏が、い草の部で農林水産大臣賞
を受賞しました。

【農工商連携研修報告】
▽はじめに
今年度の作付面積も8月苗より予測すれば、2割前後が減少 し1000ha
前後になるような話が出ています。
何とか熊本産地を維持、活性化していきたい。

このような思いから、9月と10月にそれぞれ3日間、 延べ6日間にわ
たり、農業事業を活性化する方策を農工商連携で研究するセミナー
が中小企業大学人吉校で行われ参加してきました。
成功している農業に共通する「学ぶべき点」をい草事業の内部に取
り込み、私たちに出来る事を考えています。
ここに研修の一部報告を行い、皆様より産地活性化へのご意見を頂
ければ幸いです。

---------------<以下は社内報告より一部抜粋>----------------
▽問題点(農業全般)
1、供給側と需要側とのミスマッチ
(「農が変える食ビジネス」日本経済新聞社83ページより一部抜粋)
「農産物は通常、農協などの出荷団体が生産者個々から集荷して市場
に出すのだが、その集荷方法は「共同選果(共選)」が一般的。いろ
いろな生産者の作った農産物を1つにまとめて出荷するというやり方
で、これだと量は揃うものの、品質にバラツキが出る。
今の時代、質の安定しない商品を好んで買うユーザーはいない・・・。
両者のミスマッチが深刻化したのは90年代半ば頃からだ。

2、契約の概念が理解出来ない
 ・契約しても市場や他買い手の値段が高ければ簡単に他へ流してし
  まう
 ・外食産業、中食産業に販売する卸業者の中には安いという理由で
  はなく、契約を守る海外へ産地を移したという事例もある

▽成功している事例での共通点
 ・契約の概念が理解出来、実践している農家
 ・ここに生産が追いつかないほどに注文が集中している
 ・「なぜ需要側から”契約”というラブコールがあるのに、多くの
  農家は受け入れようとしないのか?」
 ・研修に参加され自ら生協などに販売されている農家はこのことに
  同感されていました

▽熊本産地に取り入れるべき点
 ・ユーザーからの声を届けられる仕組みづくり
 ・そのため市場ルールである返品期限21日の見直し
 ・供給側と需要側とのマッチングモデルを各事業所で進める
 ・生産者名の表示(印鑑やラベル)の徹底

▽弊社が取り組むべき点
 ・農家と弊社とお互いの約束事を守り、お互いに契約の概念を理解
  する
 ・ユーザーからの声を届けられるよう継続品の割合を増す(市場か
  らの仕入では返品期限が21日以内であり、期限を過ぎると受け
  付けられない。従って何度も同じようなクレームにつながる商品
  を作り続ける可能性が大)
 ・継続して入荷する農家の製品は、ユーザーの声をより伝えられる
  仕組みづくり
 ・このことでユーザーから支持される商品づくりにつなげる
 ・供給側と需要側とのマッチングモデルを情報技術を応用して構築
  を進める

▽参加メンバー
 九州(福岡から沖縄)より
 米、野菜農家、お茶農家、青果市場、ショッピングセンター、ブラ
 ンディング専門会社、酒屋、銀行、行政、道の駅、アイスクリーム
 業者、他30数名が集まりました。
 農業に関する異業種でより価値ある農業の事業を模索しようと事業
 プラン作成まで行いました。い草関係では弊社だけの参加でした。
 もし次回チャンスがあれば農家、行政や農協の方も誘いたいと思い
 ます。

▽講師陣
(第1ステップ:概要)
 ・様々な農業の実態を取材されている農業関連のジャーナリスト
  青山浩子氏 著書に「農が変える食ビジネス」日本経済新聞社
 ・DVD研磨機で世界の85%シェアを持つ鹿児島の機械 メーカー社長
  (農業機械も生産)
 ・大規模野菜農家、販売事業者(大手外食業者と取引)
 ・道の駅支配人(元民間の流通業者)

(第2ステップ:事業プランづくり)
 ・経営系、農業で実績あるコンサルタント4名
  (4グループに分かれる)

【お知らせ】
・契約を今後も増やし、販売が低調化する春に入荷する契約商品の
 品質を維持するために、断熱材で囲った倉庫に除湿器も完備しました。
・来春以降はこれまで以上の品質で商品を提供していきたいと思い
 ます。

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投稿者松永:2006年10月26日 13:16

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