2004年10月26日

肥後物産通信10月号 茶根の畳表について

【産地状況】
各地区で展示即売会が開催され、市場も慌ただしさを
みせていましたが、ここで一段落し、落ち着いてきた
ように思います。
農協市場の出展枚数は一週間で約50.000枚(同時期18
%減)となっており最盛期ではありますが、台風の影
響から少ない出品となったようです。
現在、産地は稲刈りが行われていますが、倒れた稲も
多く、刈り取り作業に手間がかかるようです。
この先11月中旬頃にはイ草の植え付けも始まる事から
出品は徐々に少なくなる事が予想されます。
市場は在来種よりヒノミドリが多く、今年のイ草の特
徴としてイ草が太く茶根のせいか、下級品はヒノミド
リの特徴が出ず、在来種との区別がつかないもの見受
けられます。

また気候も畳表生産には最もよい時期となり、最高級
品が生産されています。この中の一部はこれまでに総
理官邸や迎賓館、熊本城、各種寺院に敷き込まれてい
ます。(参考写真)
またこれらの生産者の製品も在庫として入荷し始めま
した。

【茶根の畳表について】
今年は6月後半の生育時期、気温が高く降雨が少なかっ
た事が茶根の大きな原因と思われます。
在来種に限らずヒノミドリの草も、今年は草が太く茶
根が多く見られます。そのため、ヒノミドリ本来の特
徴である細さが見られずあまり在来種と違いが出てい
ません。ただ、昨年度のヒノミドリの草は柔らかく、
少し貧弱な感じがしていましたが、今年のヒノミドリ
は実入りが良く頑丈な感じがしますし、年明けから多
く製職される早刈りの草は例年以上に堅く良質な表が
期待できるのではないでしょうか。
「茶根の写真」

【畳表の耐久性への質問】
今年も秋の展示即売会などで、一部で「有機栽培」と
いう表示が見られました。
広島県い製品商業共同組合ホームページにありますよ
うに、有機質をふんだんに吸収し育った藺草は、茎も
細く丸みをおび、弾力性に富み、粘り、耐久性があり、
優れた光沢をみせ艶がありますが、これらの特徴とは
違い、裏毛がスカスカで実が入っていないものまた、
裏毛がポロポロ折れるものも一部で「有機栽培」とい
う表示が見られました。耐久性をはかる目安のひとつ
に、私たちは裏毛藺草の先の部分をみます。
藺草は根は強いのですが、先は弱い特性があると思う
からです。在来種やひのみどりに関わらず、手でつか
んだときに柔らかく押し返してくる藺草は、耐久性が
あると思いますが、実際使用されてみての耐久性、退
色後の艶はいかがでしょうか?

【来月のテーマ】
中国藺草が国内産地で織られ国産で偽装されていると
いう内容の質問メールがきました。

--------------<以下、質問メール>------------------
『最近、中国から沢山の原草が輸入され、それが熊本
で製織されたものが熊本の市場に国産表として平然と
出品されていると聞きます。
それをさらに、熊本表として全国各地の消費地へと出
荷されているようですが、これを規制するための手立
てはないのでしょうか?
また、よく熊本表の証明である証糸の扱い(糸引き表
では、黄色と青のこよりになっていて、麻引き表では、
りんどう色の証紙が入っている)が、いい加減のよう
に感じるのですが・・・。
特に、証糸が入っていない熊本表が意外と多く、畳屋
さんの中には、その証糸を見せてお客様に国内産(熊
本表)であるとアピールしているのに、購入した畳表
にその証紙が入っていない場合、アピールできないと
不満を抱く人がいらっしゃいます。(畳屋さんの中に
は、熊本県の証紙が入っていない畳表は、中国の草を
国内で織っただけなのではないかと疑っている人もお
ります)とにかく、JASの検査が厳格になってきた
ように、こういうところもキッチリとした統一ルール
を作っていただきたいです。
中国草の日本織り(もう、実際出まわっているのだか
ら、それはそれで認めるとして)そして、純粋な熊本
表との明確な区別をしてほしいと思います。』
--------------<以上、質問メール>-----------------
(コメント)
貴重なご意見ありがとうございます。
以前より問題として指摘されている事です。
草を仕入れて国内で織るのは熊本でもますます増え続
けているようです。これらには「原産地:中国産、製
織:熊本産」といった表示などはありません。
これらの対策は国産シールに割り印、原産地表示ラベ
ルが農協市場という事を行っている程度です。
また熊本表で証糸が入っている割合は全体としてはほ
とんどに入っていますが、考えられるのは、
※広島から糸を仕入れている農家
※熊本証糸が入っていない中国産
ではないでしょうか?

以上この件について来月とりあげたいと思いますが、
皆様この件をどのようにお考えでしょうか? 
ご意見をお聞かせください。

【お見舞い】
この度、新潟県中越地震、並びに度重なる台風よって
被害に遭われました方々の一刻も早い回復をお祈り申
し上げます。

投稿者松永:2004年10月26日 11:24

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.higobussan.co.jp/mt/mt-tb.cgi/23