2006年8月12日

肥後物産通信8月号 新芽と古芽の退色の違い

【産地状況】
梅雨明け以降、産地では猛暑続きとなっております。
お盆前の農協市場の出品枚数は1日平均1万枚、前年比約 12%増
となり、約3割程度が新草の出品状況です。出品増となった要
因の1つに新草の引き合いが少なく、保留品が多かった事が考
えらえます。

生産農家では全般に、お盆明けから8月苗の植え付けが行われ、
本格的な畳表生産は今月末頃(20日以降)からと思われます。
例年のように新草の表は、まだ染土との馴染みが浅い感じとな
っていますが、今年は全般に実入りの良いい草が収穫されたこ
とから、今後良質な畳表が期待されます。

【新草の品質】
農協担当者、私設市場の方々に、新草の状況を聞いてみました。

草質:収穫当初は日照不足の影響から、新芽の伸び上がりが少
    なく、先枯れの心配がありましたが、全体的に草質は硬
    く、実入りの良い草質。
長さ:田圃により格差はありますが、若干短いか平年並み。
    (130~150cm程)
収量:収穫が進むごとに増収となったようですが、一反当たり
    平均350~400貫(1貫=3.75k)程の収穫量、平年作。
ヤケ:品種によっても異なりますが、全体的に少ないと思われる。
着花:早刈り在来種では、着花した古芽が伸び上がっており、
    上物への混入が気になるところ。全体的には少ないと思
    われる。

【新芽と古芽の退色の違い】
い草原草を5段階に選別し、その段階ごとに新芽と古芽に分けて
織られた畳表を紹介します。(熊本県い業研究所 試験製作)
古芽と新芽の退色写真
 

sinme_furume.jpg

上の新芽と古芽の写真は、長さごとに赤線で区切っています。
右側の白い部分は新芽だけで製織しており、左側の黒っぽい部分は古芽だけで製織しています。

イ草の長さごとの写真

     
 
4尺3寸以上
43_new.jpg 43.jpg
4尺〜4尺3寸 4_43_1.jpg 4_43.jpg
3尺5寸〜4尺 35_4_1.jpg 35_4.jpg
3尺2寸〜3尺5寸 32_35_1.jpg 32_35.jpg
2尺9寸〜3尺2寸 29_32_1.jpg 29_32.jpg

 

◎考察
・4尺3寸以上の選別には、古芽の混入がほとんど無く、退 色後

 の黒筋の発生が見られない。
・退色後の黒筋の主な要因は、古芽の変色、先枯れによるもの
 と考えられる。
・い草栽培において古芽は母芽となるが、この古芽の成長を押
 さえながら、いかに分けつを施すかが高品質な畳表生産には
 鍵となる。
(注意)
 2尺9寸~3尺2寸では、新芽でも縁際が黒く 見受けられますが、
 これはイ草が短く、長さ不足のために草が端まで届かなく隙
 間が空いており、その部分が黒く見えている状態です。部分
 的に経糸が見えているところもあります。写真では分かりに
 くいのですが黒筋ではありません。

【お知らせ】
弊社1号倉庫の改装工事が終了しました。
内壁には一面に木材を使用し、自然の調湿機能を備えました。
また天井からの熱気や湿気を遮断することにより、入荷した畳
表をより一層、良い状態で保管できる環境となりました。
(1号倉庫写真)

souko1.jpg

souko_naibu1.jpg

souko_naibu2.jpg

投稿者松永:2006年8月12日 16:14

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