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泥染めすると、太陽熱をよく吸収して、茎の温度が早く上がって乾燥が早くなります。 この乾燥の促進によって、酸化酵素が働かなくなり、葉緑素が分解されずに固定するため色彩が良くなります。 また、粘土の被膜ができているので間接乾燥の状態になって、水分はまず粘土の粒子に吸収されてから蒸散するので、イグサの表皮の細胞が急激に萎縮しないし、乾燥が平均にすすんで変色しません。 反対に、泥染めしないで乾燥すると乾燥が遅れるため、イグサが褐色に変色し目方も軽くなります。 そのため、製織しても製品の商品価値はなくなってしまいます。 イグサ固有の色は、本来の色調と泥の粘土粒子の乱反射による色調との調和によるものです。 その他、泥染めの効果としては、乾燥したイグサ茎の中の葉緑素が光によって分解されて変色するのを防ぐ役目もすることが考えられます。つまり、泥染めによって粘土の被膜ができて、光線の直射と葉緑素の分解に必要な酸素の供給が遮断されるためです。 またコロイド粘土は乾燥後も水分を吸着する性質があるので、イグサ茎の乾きすぎや湿気の多いのを防ぎ、調節する役目もあります。 泥染めした茎は、貯蔵中に化学作用によって畳表独特のかおりを持つようになります。
無染土で泥染め製職した場合
茎の乾燥状況を比較すると、泥染めい草茎が均一に乾燥するのに対し、無染土い草茎は天日乾燥下では日光が直射した部分だけ、機械乾燥においては熱風の当たった部分だけが乾燥し、その不均一さが目立つ 製織においてはカシがとれにくいためにカシ不良や2本差が多くなる。 つまり織り方が悪くなる。 カシがとれにくいために長時間のカシが必要となり、色が落ちる。 畳表本来の機能が失われる。 草が並んだような織り方になる。 (補足) 沖縄の藺草は無染土で製職していたが、これは草が太いために本来目詰まり感がなく草が並んだような織り方で通用していた。 熊本の草は沖縄に比べると細く、本来、目詰まり感がある表が高級品という需要に応えるためにも染土は必要である。 無染土だと、草が並んだような織り方になる。 歴史について、江戸中期に泥染めをしている絵があるため、江戸中期には泥染めが行われていたことが伺えます。
(補足)
近年の産地における泥染めについて
投稿者higo:2008年1月20日 18:53
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