2010年4月27日

肥後物産通信4月号「裏毛の枯れと黒筋の関係」

【頂きましたご質問より】
Q:上級品(弊社等級 「久」、「万」相当)を購入したのですが、裏毛に枯れがありました。
下級品は年月が経つと共に黒筋が出てくるのですが、上級品の場合も同じように黒筋が
出るのでしょうか。
 
A:上級品に使用される草は主に、「選別された新芽の長いイ草」が使用されています。
このイ草の先枯れは、イ草の実(灯芯)が充実した際に表れるもので、古芽の老化現象
から黒筋に退色する場合とは違うものと考えられます。
 例えば、稲が収穫の時期になると稲穂は黄金色になりますが、その時の稲の葉先は
白っぽく枯れてくるように、イ草も充実し収穫の適期になると、濃い緑色から、淡い緑色
に変わっていきます。その時のイ草の先端は赤紫になり、少しずつ先枯れが出てきます。
この先枯れは収穫の適期を判断する目安にもなります。
 心配されるのはこの先枯れが黒筋となり、やがて段々と表の中心に向かって変色して
いく事かと思いますが、退色実験したものを下記に紹介しますので、参考にして頂けれ
ばと思います。

                                     tsuusin20104-3.jpg      
                 全体写真(中央より右側を退色させたもの)     
    
     tsuusin20104-2.jpg     urakare.jpg    
                  退色前                                退色後

・写真は五八麻綿Wの等級「万」の商品で、イ草の選別は3番草です。
・退色を早めるために畳表の中央から半分を直接日光に当てた物になります。
 (この生産農家では選別を細かく刻み、さらにセンサ-選別機を使って、高品質な畳表を生産されております。
   
写真右の「そのまま加工した製品」とは、3番草をセンサ-選別機に掛けず、そのまま加工した表を意味します。)

右の写真が退色後の写真になりますが、裏毛に先枯れの見えるところが確認できます。
枯れがある部分から中央に向かってみていくと黒筋は出ておりません。                                                                   一概には言えませんが、「選別された新芽の長いイ草」にある先枯れは、黒筋にはならないと思われます。また、少々の先枯れは、充実したイ草を使用しているものと考えられます。
 
*「古芽を長く伸ばした草」が上級品に含まれている場合は黒筋が出る可能性があります。
新芽、古芽については下記の資料をご参考にして頂ければと思います。

・「国産畳表の見分け方

次号は今回詳しく取り上げませんでした「新芽の先枯れと古芽の先枯れの違い」について取り上げたいと思います。

投稿者森岡:2010年4月27日 16:55

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