2012年6月 5日

肥後物産通信6月号 産地状況と今後の見通し

 先週末より相場が強くなり、これまでの4~5月の状況と幾分違ってきています。
またイ草の生育状況では、農薬問題が地元新聞に掲載されたこともあり、産地の状況と見通しについて問い合わせがありましたので、現在の状況を簡単にまとめてみました。

 現在の熊本産地状況ですが、昨年末の相場高騰から、年明けはこれまでにない需要減少で4月~5月は相場は緩み、高騰分がいくらか戻る形となりました。特に太麻関係の需要が少なく、これらが弱くなりましたが、糸引関係は生産が少ない事もあり、麻に比べればしっかりした相場となっています。また実入りの良い草は少なく、これらは糸引や太麻に関係なくしっかりした相場となっています。
 6月に入り、今月中旬には刈り取り準備で生産があと2週間しかないという事と、少なくとも7月分までの在庫確保の動きもあり、現在、相場は強くなっています。
 2年続きの不作で残り草は少なく、契約品の入荷も例年より早く途切れ気味となってきました。刈り取り後の生産は、一部で計画的に古草を持ち越してはおりますが、さっそく新草を織るところがあると思います。9 月頃までは古草の需要が多いため、この時期に古草での供給が少し不足する可能性があります。
 現在の生育状況は2~3月の低温で「不作では?」と以前より言われていましたが、5 月の天気の良さと気温の高さで回復気味と思われます。生産者の中には「量はとれないかもしれないが、質は良さそうだ」との声もあり、品質においては今年は少し期待しているところです。

 昨年を振り返ると 3~4 月の低温と例年より早い梅雨入り(5 月 17 日)で積算温度(毎日の平均気温を合計したもの)が足りず不作でしたが、今年は昨年より 5 月の天候が良かった事で、積算温度の回復につながっているものと思われます。収量は梅雨時期の雨がどれほどかで今後は左右すると思われます。
 一方で熊本の地元新聞に掲載されました水稲の苗の消毒に使った農薬の問題で、約 8 分の1の作付面積(109 ha、農家は115戸)に影響が出てきそうです。一部ではこれ以上の生育は難しいとして鋤き込むところも出てきており、その他のところでも生育が悪く本間や五八の上物の生産は難しいかもしれません。仮にこの件で約10%が減収としても、弊社としては十分供給出来る準備が必要と考えています。以下は私たちが予測する今後の生産予定のイメージです。需要の予測は難しいのですが、供給に関しては参考までご覧頂ければと思います。

(6月)
15日前後までの生産が予想されます。
これまでに7~8月分までの在庫を確保したい産地の動きがあるかもしれません。
(7月)
刈り取りは例年20~25日頃までです。
その後も片づけなどがあり、7月中は市場への出品がほぼなくなります。
(8月)
お盆前に各農家から60枚ほどの生産がなされ少しの出品があります。
お盆明けは20日以降に出始めます。
(9月)
生産が本格的になりますが、1~3番草(長い草)からの生産で、
例年五八糸引や五八麻の中間品から下のランクが不足気味です。
例年より新草の割合が多いと思われます。
(10月)
品質が最も良くなる時期です。畳表の生産において、品質が良いのは
「彼岸から彼岸の間(10月から3月)」と考えており、新草の仕入れはこの
時期から本格化します。また10月初旬から各地で展示即売会が行われます。
(11月)
展示即売会も一巡しますが、中旬より植付の準備などで生産が減退します。
「展示即売会後に相場が買いやすくなるのでは?」という声が毎年ありますが、
この植付作業での生産減少で最近は相場が高くなる傾向です。
(12月)
20日頃まで植付作業が行われ、年末の出品まで生産がありません。
「年が明けたら相場は安くなるのでは?」という予測が毎年多く、買い控えが起こり、
例年は年末の相場は下がる傾向ですが、過去2年においては相場が
上がるという過去にない相場展開でした。

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投稿者森岡:2012年6月 5日 18:15

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